グローバル行事
世界銀行副総裁 西尾昭彦氏 講演会
新春特別企画として世界銀行副総裁の西尾昭彦氏をお招きして「世界銀行で働く~居住可能な地球での貧困のない世界を目指して」というテーマで講演会を行いました。
【生徒の感想】
今回、西尾先生が講演なさる前に、先生のプロフィール紹介をさせていただく係になった私は、事前にいくつかの記事を拝読しました。そのため、世界銀行についてもっと知りたいという思いが高まり、この日を楽しみにしていました。
いよいよ講演が始まり、まず、You didn’t come here to work.You came here to a mission. という言葉を教わりました。これはご自身が入行された際心に響いた世界銀行の言葉とのこと。様々なポジション、様々な角度から国際社会に貢献し、結果を残してこられた先生は、きっとこの言葉に突き動かされながら、人生を駆け抜けてこられたのではと感じました。
又、紛争により壊されたボスニアの古橋を再建するなど、復興に尽力したことで、今度はその国自身がドナー国として協力することになったというお話もとても印象的でした。先生がおっしゃる「助け合いの精神」が、まさに体現されていると胸を打たれました。
そして、世界に飛び出し視野を広げること、知的好奇心を持って積極的に行動すること、自分の強み見つけて努力し続けることが、何より大切と改めて学びました。これは将来の目標として国連に興味を持っている私にとって、忘れてはならない重要なことです。全く簡単な道ではないし、違う形になるかもしれないけれど、自分にも可能性はあるのだと信じ、今自分に出来ることを何でもやってみます。そしていつか先生のように志高い方々と、成長しながら世界で活躍したいです!
貴重なお話をありがとうございました。(高一T.R.)
今回のお話を踏まえて、私が考える貧困のない世界の目指し方について述べていきます。まず貧困問題にはお金が必要です。例えば初等教育、基礎的保健サービス、農業などの支援に使われます。しかし、それも現状の貧困国の多さを見て考えますと相当の金額が必要です。この問題には国際開発協会(IDA)が力を入れています。IDAとは、世界銀行グループが運営する国際的な連帯基金です。また、融資のほかに途上国の政府に対して助言や技術協力なども提供しています。
そしてIDAは過去最大投資で1000億ドル(15兆円)の融資の支援額を確保するという対策を施しました。これは様々な国が協力してくれたからこそ集まった金額です。中には自国は途上国であるにもかかわらず、過去にIDAに頂いた恩を返すために協力したという国もありました。こういった協力のもと1000億ドルが達成できました。そこから、78の途上国の政府に提供していきます。そのうちの半分はアフリカです。
このようにたくさんの金銭的・技術的支援を提供しているならば、早急に貧困問題が解決できるように思いますが現実はそう甘くはありません。IDAはもちろんい今までたくさんの支援をしてきました。2024年6月30日までの1年間の融資契約額は総額312億ドルです。また、12億7530万人に基礎的な保健サービスを提供したり、1億2150万人に整備された水サービスへのアクセスを確保、そして1億3280万人に新規または整備された電力サービスの確保をしたりなどこの他にもたくさんの成果を上げています。そして多くの人が知っているとは思いますが、NGOやNPO団体が昔から多くの支援を貧困国にしてきます。それなのに貧困国の問題は解決しません。なぜなのでしょうか。まず、支援が全部に届ききれていない、という問題があります。残念なことに先進国より発展途上国の方が多いです。国自体の知名度が少なく外国からの支援がもらえず、発展から取り残されてきた国と呼ばれている国が存在します。こういった問題はまず、私たちがどのような国があるのかを取り残されている国がないかを知っていくところから始めていくことが必要です。
そしてもう一つ、私は過剰な支援はよくないのではないかと考えます。私は中学三年生の社会貢献学習において、発展途上国であるカンボジアとラオスの国を支援している団体にお邪魔させていただきました。その団体がお手伝いをしている地域が長年支援を受けていたせいか、常時支援を待っている状態になりかけており、それはダメだと、なんでもクレクレではなく自立するための支援をしないといけないと言うことを教えていただき、支援を受ける側が支援されるのが当たり前と思ってはいけないことを学びました。もちろんそんな単純な話ではありませんが、国際支援をあてにして自国の対策はなし、と考えている政府がいることも事実です。支援に依存するのではなく自立を促すような支援が一番の解決策だと考えます。自立にはどうすれば良いのか、それは高2の論文で調べていこうと考えています。(高一W.C.)
【保護者の感想】
全く久しぶりに心洗われる想いで講演を拝聴いたしました。一企業に特化した利益追求の為の講演でなく人類の大きな枠組みを構築していこうとする方向性が明確であり、それを政治、経済、思想、更に気候変動が多様化していく中で在るべき姿を求めて行動しておられる事に敬意を表すると同時に日本にもいまだにぶれない精神がこの分野に残っていたのかと感慨一入です。
私が社会に出たころは昭和40年頃、政治家も官僚も経営者も一丸となって戦後復興という目標を掲げて同じベクトルで邁進している時代でした。社会を引っ張る指導者は政界も経済界も官僚も哲学を持ち理想を語る凄い人たちでありそれが当たり前だと感じていた時代でした。
それから約60年。政治家も経済人も官僚も指導者誰もが明日を語れても明後日以降の方向性を語れないサラリーマン化してしまった現状があります。そしてその社会風潮に育てられた今の子供たちはまさしく時代の被害者といえます。
さてこの温湯からの脱却は大変なことですが世銀の活動に伴う行動力と発信力が灯台のように大きな希望となり社会意識変革の端緒になると信じます。学校教育も是非、この世銀活動に焦点を当てた授業を積極的に展開し学生達に希望の目を育てていくことを期待します。(中2保護者(祖父))