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生徒の活動

作法室の庭の枝折戸を新調しました

 本校には約30畳の広さを持つ作法室(茶室)があり、茶道部(表千家・裏千家)の活動や中学1年の茶道体験で利用していますが、小ぶりながら本格的な茶庭を備えています。この庭の枝折戸(しおりど)が痛んできたため、新調することとなりました
 今回、京都で茶室づくりのプロジェクトを手がける株式会社 紫匠庵の本山幸恵様を通じて、庭師の小笠原哲様をご紹介いただきました。小笠原様は、株式会社みちくさの代表として京都を拠点に作庭を手がけ、国内外を問わず寺社仏閣・文化財・植物園・有名料亭・大手企業・個人宅と幅広く活躍されています。そして、小笠原様とともに実際の作業を手がけたのが、広島を拠点とする女性の庭師の平ノ内まどか様です。お二人は、京都で切り出された青竹を運び込んで切り分け、枝折戸(しおりど)のほか、四目垣(よつめがき)と袖垣を製作・設置してくださいました。
 10月23日(木)の作業当日は、茶道部(表千家)の生徒たちが作業の様子を見学させていただきました。施工が完了した後、生徒たちは平ノ内様から枝折戸の役割、露地の構成について解説を受けました。禅の精神を基調とする侘茶(わびちゃ)の世界観において、枝折戸は我々が住む日常の俗世間と、静謐な茶の世界とを分ける入口の役割を果たしていること、枝折戸をくぐり抜けることで心を落ち着けて日常から離れた静けさの中に入ること、こうした結界としての役割が枝折戸のいちばん大切な意義であることを説明してくださいました。また、枝折戸は昔から全て竹を材料として作られ、釘も鉄ではなく竹で作った竹釘が使われるなど自然素材でできており、茶室へと続く露地の景観にリズムを生みながら、自然に溶け込み調和を感じさせるとのこと。
 生徒たちは、平ノ内様のお話に熱心に耳を傾け、活発に質問していました。普段何気なく眺めていた庭の意味について認識を新たにするとともに、それを支える職人さんたちの技と思いに触れることができ、たいへん有意義な一日となりました。

生徒の感想

 実際に世界中を回ってらっしゃる職人さんたちと直接お話しした経験は、これから茶道と向き合うモチベーションになりました。海外からの注文に対して特別な工程を踏まなくてはならないことなど、直接お会いしたことで初めて知ることが多くありました。また、職人さんが「一期一会をいつも心に持っている」とおっしゃっていましたが、出会いの大切さを肌で感じることができました。青竹は茶道の世界では期間が短いことからとても格が高く、貴重なものとされています。そんな青竹で作られた枝折戸の完成直後の姿を見て、実際に露路を歩くことができました。竹を使うために薄くする工程だけでも2日もかかるそうです。大切に作ってくださった想いを忘れずに、これからのお稽古に励みたいと思います。(高1 M.T.)