学習・進路行事
中3平和学習~ハンナのかばん~
11月17日(水)の道徳・HRの時間に、中3はNPO日本ホロコースト教育資料センター理事長の石岡史子氏をお招きして、平和講演会「ハンナのかばん」を実施しました。
「ハンナのかばん」は、13歳でホロコーストの犠牲になったユダヤ人の少女ハンナ・ブレイディの遺品をめぐる物語です。アウシュビッツ博物館から寄贈を受けた石岡さんが、子供たちと一緒に持ち主であるハンナのことを調べていく中で、生存者であるハンナの兄と出会い、ハンナがどのような少女でどのように生きたのかを知ることになります。
講演会では、実物の「ハンナのかばん」を前に、石岡さん自らかばんとの出会いやハンナの生涯についてお話くださいました。また、今回は特別ゲストとして、ユダヤ教のラビ(師・指導者)のアンドリュー・シアー氏も来てくださり、彼の祖父がオスカー・シンドラーのリストに載せられたことによって虐殺を逃れて生き残ったときの話などを語ってくださいました。生徒たちも興味深く真剣に話を聴き、ホロコーストの歴史や実態についても学ぶことができ、平和について考える機会となりました。以下に生徒の感想を紹介します。
講演を聞いて、ホロコーストは私が想像していたものよりもずっと残酷だということを知りました。今まで、ガス室で亡くなった人を埋葬する人やアウシュビッツ絶滅収容所へ人を運ぶ列車の運転手の心情など想像したこともなかったので、石岡さんの話には深く考えさせられました。ハンナが収容所へ連れていかれるとき、自分がこれからガス室で殺されるとも知らずに、兄のジョージに会えると喜んで行ったという話には胸が痛みました。私がその時代のドイツに生きていたとしたら、シンドラーや杉原千畝のようにユダヤ人を助ける行動ができるだろうかと考えてしまいました。大事な選択をするときは周りの人に流されるのではなく、自分の思う正しい選択をしたいと思いました。
今までは教科書などで学ぶだけで、私にとっては長い歴史の一つに過ぎず、あまり関心がなかったことでしたが、今回石岡さんやシアーさんのお話を聞き、かばんの実物も見て、本当にこのような残酷なことが行われていて、何百万人もの人の命が失われてしまったということを実感しました。ユダヤ人が奴隷のように扱われているのを静かに冷たい目で見るドイツ人のなどの写真を見て、まるで現代のいじめのようだと感じ、私たち自身の問題でもあると思いました。」
「第二次世界大戦中にユダヤ人が「迫害された」「収容された」「殺された」という出来事は知っていたが、これまで迫害されていない人々の行動について、深く考えたことがなかった。私が一番印象に残っているのはユダヤ人を運ぶ列車について、その運転手や時刻表を作る人の存在にふれた場面だった。彼らが、自分の行っていた行為の目的を認知していたかについて、「知らなかったのでしょうか、知りたくなかったのでしょうか。知らないふりをしていたのでしょうか。」という石岡さんの問いかけは胸に刺さり忘れられなかった。600万人ものユダヤ人の虐殺はヒトラー一人では成しえなかった。大量虐殺に加担せざるを得ないような「同調圧力」とそれに屈して疑わなかったドイツ国民。その一方でユダヤ人を救う行動をした人たちもいたこと。ホロコーストの問題は、私たちが現代の社会問題を考える上で大切なことを教えてくれると思う。