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グローバル生徒の活動

アンネのバラ委員会主催で「接ぎ木の会」を開催しました

 1月20日(土)、アンネのバラ委員会の主催で「接ぎ木の会」を開催しました。
 この「接ぎ木の会」は、『アンネの日記』で知られる第二次世界大戦のホロコーストで犠牲となったアンネ・フランクにちなむバラを育てながら、平和の実現について考える「アンネのバラ委員会」の中核的なイベントです。
 「接ぎ木の会」は、2004年から毎年1回の開催を続けて、今年で20年目を迎えました(2021・22年はコロナ禍で中止)。今年も「ばらのまち福山」から「福山ばら会」理事長の上川内哲夫先生をお迎えして、接ぎ木の技術指導と育て方のレクチャーをしていただきました。
 当日は中学1年から高校3年までの生徒・保護者のほかに、卒業生、オーストリアから海外奉仕プログラムで来ているトリスタン・ダハさん、津田塾大学の方々など、たくさんの方が参加してくださいました。

接ぎ木の過程

 実際の接ぎ木の作業は、まず台木(今回はノイバラ)を剪定ばさみで整えて切り込みを入れた後、穂木(ほぎ)の「アンネのバラ」を小刀でカットして台木に挿し込み、テープで固定してから蠟で継ぎ目を塞ぐという手順で進みます。小刀で台木に切り込みを入れたり、穂木をカットしたりするところが難しく、みなさん真剣な表情で慎重に作業を進めていました。台木と穂木の形成層をぴったり合わせることで、そこからカルス(癒傷組織)が形成されて接ぎ木が成立するのですが、成功したかどうかは後日に芽が伸びてきてからのお楽しみです。
 作業中に小刀で負傷して学校前の日赤医療センターに駆け込む年もありますが、今年は負傷者ゼロで無事に終えることができ、お一人3鉢ずつ完成させてお持ち帰りいただくことができました。
 会の終了後、残った台木と穂木は教員が熟練(?)の手さばきで全て接いで計33鉢を完成させ、当日欠席された方に差しあげたり、校内の花壇に植えるために育てています。しばらくはビニール袋で覆って暖かい場所に置き、温室のような状態で温度と湿度を維持しますが、2週間ほどすると芽が蠟を突き破って膨らみ始めます。教員が接いだもののうち、接ぎ木が成功したものはすでに大きく芽が伸びてきていますが、まだまだ油断はできません。今後も元気に成長していくように、注意深く温度・湿度管理を続けていく必要があります。

生徒の感想

 今年初めてアンネのバラの「接ぎ木の会」に参加させて頂きました。自宅の庭に何本か薔薇があるのですが、接ぎ木をするのがこんなに難しいとは思いませんでした。上川内先生をはじめ、ほかの先生方に丁寧にご指導頂き、貴重な経験をさせて頂きました。親子で参加したため、6鉢も持ち帰ることができ、そのうちの3つに芽が出てきました。教えていただいた育て方をもとに、綺麗なバラを咲かせたいです。(M.F.)

 今回、2度目の「接ぎ木の会」の参加でした。接ぎ木のための木を割く時に使う小刀に慣れておらず、苦戦している人が大半の中で、講師の先生はどんなに硬い木でもするすると切っていかれたことがとても印象に残っています。私の中でアンネのバラは、今の人たちと故人のアンネ・フランクの気持ちを繋げるものだと考えています。アンネのバラを通して、今の平和の大切さを実感したり、過去の過ちをもう繰り返さないために今何ができるのかを考えることができました。あの時、丁寧に接ぎ木をしたアンネのバラは、今少しずつ芽が出ています。この芽から綺麗なオレンジ色の薔薇の花を咲かせられるようにお世話していきたいです。そして、この薔薇を今回のように誰かに繋げて、平和の大切さを広げる架け橋にしたいと思いました。(U.N.)