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文化講演会を開催しました

 10月8日(水)、高校では文化講演会を開催しました。この講演会は、創立記念行事の一環として年に1度、世界で活躍する専門家や研究者の方にお越しいただき、高校生を対象にした2時間の講演を通じて、生徒の見識や興味関心を深めることを目的としています。
 今年度は、音楽学者の佐藤康太先生(桐朋学園大学専任講師)にご来校いただき、「音楽と歴史」というタイトルでご講演いただきました。
 講演の前半部分では、「音楽学」とはどのような学問かという紹介や、佐藤先生が研究されているバロック期のドイツの作曲家ゲオルク・フィリップ・テレマンについて、さらにはドイツ留学時代のお話を、クイズなども交えながら楽しくお話してくださいました。質疑応答をはさんだ後、講演の後半では「明治期の洋楽受容と東京女学館」というテーマで、佐藤先生が約2か月間、先行研究や当時の資料を研究・分析してくださったことを講義していただきました。
 高校文化委員会の委員長・副委員長が司会進行を務めるなど、委員会もこの行事に関わり、事前の準備を進めました。
 「音楽学」という生徒にとって馴染みのない学問分野でしたが、先生のトークの面白さに生徒たちが引き込まれていました。また。佐藤先生自身が女学館の歴史を音楽というフィルターから分析できることを分かりやすくまとめて下さったことで、探究論文の執筆や情報収集の仕方について新たな知見を得られた生徒も多くいました。

生徒の感想

 まず 前半の先生の経歴や留学経験のお話では、学者は常に研究をして新たな発見をしているものだというイメージが覆りました。クイズをまじえた先生の留学時の出来事や、先生のマニアックな研究内容が大変おもしろかったです。今まで音楽に関する研究に触れたことかほとんどなかったため、今回の講演会で初めて興味を持ち、音符の数や大きさまで調べたいと思わせるほどの音楽家たちの魅力をもっと知りたいと思いました。後半の女学館と洋楽受容の関わりについてのお話では、はっきりした結論はなかったものの、創立当時の洋楽受客の流れに女学館も影響を受けていたことかわかりました。女学館との関わりという限定的なテーマでありながら、様々な文献を用いて色々な角度から女学館の当時の状況を知ることができ、大変興味深かったです。(高校文化委員長 高2 M.S.)

 今日は、貴重なお話をして下さり、ありがとうございました。2時間かけて、たくさんのことを教えていただきましたが、私がとくに心に残ったことは、佐藤先生は誰かのために研究をしているというよりも、自分が好きだからやっているということです。私は今、高校三年生で将来について考えることが多く、自分は何をやりたいのかと悩んでいました。しかし、佐藤先生のこの言葉を聞き、「自分のやりたいこと」が必ずしも「誰かのため」でなくてももよいのだということに気づれされました。このことが自分の中でとても腑に落ち、悩みが軽くなったように思えます。これから将来、人生に迷うことがあっても、自分のやりたいことに前向きに取り組むための勇気をいただきました。今日は本当にありがとうございました。(高3 F.H.)

 今日は貴重なお話と本当にありがとうございました。私は小3までピアノをやっており、歌を歌うことも好きなので、とても興味深かったです。先生のお話の中に、音符の大きさを測るという調査をされていましたが、何かを調べて研究しようと思ったときに、私だったら先生のような調査としようという考えに至らないと思うので、きっかけや導入の部分が特におもしろかったです。また、先生が「研究者の多くは、誰かのためために研究をしている、誰かのために生きているわけではない。自分が研究が楽しいからやるんだ。自分の人生は楽しいものをやったほうがいい」という言葉に感銘を受けました。研究者に関わらず、すべての人に言える言葉だと思います。将来の進路を考えると自分の興味のある職業に就くための学部に行くことがいかに大切であるか教えていただいたと思います。そして、女学館と音楽の関係もとても奧が深くて、様々なことが入り込んでいるないう印象を受けました。先生がユーモアたっぷりにお話しされている姿と見て、音楽が大好きで、今まで携わった方への感謝であふれているなと思いました!! 改めて、本日はお忙しい中、とても貴重なお話を本当にありがとうございました。(高2 Y.I.)

 今回の講演会では、音楽学についてだけではなく、ドイツ留学や論文執筆の過程などをユーモアを交えながらお話されていて、とても楽しく聞くことができました。特に印象に残ったお話は、探究論文と書く上で調査をするときには、まず「本を読むべし。」ということです。基本的な作業ではありながらも、佐藤先生のスライドにはたくさんの本が積まれた写真が載っていました。地道な調査から少しずつ論文作成のカギを見つけていくのだなと、来年の論文作成に向けて準備をしている身として励みになりました。佐藤先生が楽譜の音符の玉の大きさを測ったというエピソードも、研究への熱意を感じて、私も探究への意欲が高まりました。また佐藤先生の「自分が楽しいから研究している。」という言葉もとても共感しました。私は将来、人を助けられるような職業につきたいと思っていますが、先生のおっしゃったように、自分が楽しい,好きだと思えることも大切にして今後の進路を考えていきたいと思いました。貴重なお話を本当にありがとうございました。(高1 R.K.)

 本日は大変 貴重なお話をたくさん聞かせて下さり、ありがとうございました。佐藤先生のお話で最も驚いたのが、東京女学館の創立メンベーに現・東京藝術大学の初代校長がいらっしゃったということでした。「女子教育奨励会」という組織には、学力や女性の社会進出のためだけではなく、人としての成長(お見合いのためかもしれないですが)のための教育も考えられていたということに喜びを感じました。そして、他校に比べ、海外から輸入するしか術がなかった高級品であるピアノが4台も予算に含まれていて、女性としての成長に力を入れていたと分かりました。また、普段関わることのない音楽学者さんのしている研究をくわしく伺うことができ、とても興味深いことばかりでした。音符の玉の大きさから作曲された年代が推測できてしまったり、ものすごい量の書籍を読んでいたり、本当に音楽が好きでないとできないことなので、とても尊敬しております。私も、何か新しいことを発見することは不可能かもしれないけれど、できるだけ深く、多くのことをつきつめられるような探究論文にしようと思いました。本当にありがとうございました!!(高1 Y.M.)

 先生のお話を伺って、大変僭越ではありますが、私は先生に似た性格だなあと思います。私は音楽に関してはからっきしなのですが、古典文学が好き(いわゆる古典オタクと云われるような人間)なので、この講演の内容をすごく楽しみにしていたのですが、音楽史も面白いなと本当に思いました。本当に好きな人の好きな物語りは刺さるものがありますね。先生にとってのテレマンさんは、私にとっての中宮定子ちゃんみたいなものなのかもしれないなと思います。話は変わりますが、私は論文作成をするにあたって、「勝手が分からん」という理由でひどく悩んでいたのですが、先生の講演を聞いてそれが解消された上、すごくやる気を刺激されました。とてもありがたかったです。調査の順序など、参考にさせていただきます。先生のお話、すっと聞いていたいと思うほど面白かったです。私も、好きな学問を好きにやれたら、それはとても幸せなことだなあと思います。(高1 H.S.)