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生徒の活動行事

中3沖縄修学旅行

2学期の期末試験後、中3は3泊4日で沖縄に修学旅行に行って参りました。以下、旅行の記録です。

<修学旅行 1日目>

羽田空港を定刻通り出発し、予定通り那覇空港へ向かい、令和4年度3泊4日の中3沖縄修学旅行が始まりました。この修学旅行は、この中3にとって入学してから初めての宿泊行事であり、1年かけてじっくりと学んできた平和学習の集大成でもあります。1日目はクラスごとにバスで移動し学習します。バス内ではガイドさんが、景色を見ながら様々なお話をしてくださいました。この日の天候は生憎の雨で、だんだんと雨足も強まってきました。当初は平和祈念公園内を散策し、平和の礎を見学する予定でしたが、予定を変更して那覇市内の沖縄県立博物館・美術館の博物館を見学しました。様々な資料や発掘された品々から沖縄の自然や文化について学ぶことができ、修学旅行の始まりとして大変貴重な機会となりました。

その後、沖縄戦終焉の地となった沖縄本島南部の糸満市摩文仁にあります沖縄県営平和祈念公園へと移動し、平和祈念堂にてセレモニーを行いました。このセレモニーは、1学期に学年全体で平和への祈りを込めながら作り上げた「折り鶴レリーフ」を献納します。今年はコロナ禍のため、献納することができなかった過去2年分の折り鶴レリーフも合わせて献納することができました。平和学習委員が司会進行をつとめ、生徒会長、副会長の言葉、折り鶴レリーフ原画制作者の作品に込めた想いに続き、公益財団法人沖縄協会専務理事 新垣様からのお言葉を頂戴致しました。終わりに平和学習委員長、副委員長がそれぞれ平和学習に対する想いを述べ、しめくくりました。

最後に強い風と雨の中、短時間となりましたが、平和祈念公園内の平和の礎に礼拝することができました。新垣様がお話してくださった中で、沖縄戦当時は梅雨で道もぬかるんでいたという話がありました。この日の天候もあいまって生徒達は、当時の筆舌に尽くし難い苦難を経験された方々に思いを馳せ、一人一人が平和の大切さを改めて強く噛み締め、今後自分達が平和のために何をすべきなのかを考える貴重な経験となりました。

ホテルへ到着してからは初めての宿泊行事にワクワクしながらも、コロナ禍のため食事時の黙食を徹底するなど各自が気をつけて行動し、無事に1日目を終えました。

 

<修学旅行 2日目>

2日目はクラスごとに分かれ、沖縄県各地にある戦跡を巡ります。クラスにより順番は異なります。B組を例として述べます。最初は豊見城市の旧海軍司令部壕に向かいます。慰霊碑に礼拝をし、壕内を見学させて頂きました。壕内はコンクリートで整備されてはいるものの、旧日本海軍によって掘られた壕や銃痕は当時のまま今も尚、生々しく残っており、想像を絶する戦いの一端を感じる体験となりました。また、大田司令官の県民のための電報にも心打たれました。

続いて南城市玉城字糸数にあります、糸数壕アブチラガマへと向かいました。この壕は自然洞窟(ガマ)で、もともとは糸数集落の避難指定壕でしたが、日本軍の陣地壕や倉庫として使用され、戦場が南下するにつれて南風原陸軍病院の分室となりました。全長270mのガマ内は当時、配属された軍医、看護婦、ひめゆり学徒隊と600人以上の負傷兵で埋め尽くされておりました。南部撤退命令により病院が撤退した後は、住民と生き残りの負傷兵、日本兵の雑居状態となっており、米軍の攻撃に合いながらも生き残った方々は投降勧告に従ってこのガマを出ました。中に入ってみると、旧海軍司令部壕とは違い天然洞窟のため、壕内は暗く滑り易くなっており、ヘルメットや軍手、懐中電灯で注意しながら見学させて頂きました。この壕内では治療が間に合わず数多くの尊い命が失われましたが、この壕のおかげで救われた命もありました。平和ガイドの方から奇跡的に生き残った方が体験したことを丁寧にお話し頂きました。また、足元を照らしていた懐中電灯を一度消し、深い闇も体験し、帰らぬ人々へ思いを馳せました。ガマから出たときの光、植物の色濃い緑、新鮮な空気、生徒達は各々肌で感じることができたのではないでしょうか。

糸数壕を後にしたのち、糸満市井原に移動し、ひめゆりの塔近辺でお昼休憩をとりました。お昼のメニューは沖縄そばやジューシーご飯、サーターアンダギーなどで沖縄の味を堪能することができました。お土産も購入しました。

その後ひめゆりの塔、ひめゆり平和祈念資料館に向かい、ひめゆりの塔に礼拝をし、資料館を見学させて頂きました。純真な心で働き、壮絶な最後を遂げた女学生の無念さややり切れない想いが、残された資料や奇跡的に生き残った方々の貴重な証言から感じ取ることができました。生徒達は一つ一つを丁寧にじっくりと見学しました。時代に翻弄され、帰らぬ人となった学生達のことを想うと、胸が締め付けられる様でした。自分達に重ね合わせ、真剣に学ぶ姿が印象的でした。

最後は嘉手納町にあります「道の駅かでな」の展望場から、嘉手納基地を見学しました。日本最大の空港である羽田空港の約2倍の面積をもつ広大な基地を実際に目の当たりにしました。沖縄返還から50年経った今も、負担を沖縄県民に強いている問題に生徒たちは自分の事として考える機会となりました。展示室では嘉手納町の文化や歴史から、基地周辺の騒音や、危険と隣り合わせであるかといった町の抱える問題について学びました。

その後、嘉手納町からバスで北上し、2、3日目に宿泊する本部町のホテルへと向かいました。ホテルは海の近くに位置しており、沖縄の自然を感じることができます。このホテルの食事はビュッフェ形式でしたが、手袋、黙食の感染対策を徹底しながら美味しく頂きました。2日目も無事に終えることができました。

 

<修学旅行 3日目>

3日目は3コースに分かれ、美ら海水族館を始めとした沖縄の自然や文化を体験しました。美ら海水族館では沖縄の様々な美しい海の生き物や、大きなジンベエザメが悠々と泳ぐ姿を見ました。この日は天候にも恵まれ、海洋博記念公園で青い空とエメラルドグリーンの美しく輝く海を眺めながら気持ちの良いお弁当の時間を過ごしました。そして宿泊行事最後の夜は、改めて黙食の徹底など気を引き締めて楽しみました。

【シーサー作りコース】

恩納村で行われた「漆喰シーサー作り」体験では、魔除けや守り神として知られるシーサー作りに挑戦しました。石灰岩と稲わらを加工してできた沖縄独特の「琉球漆喰」を材料に、3時間で成形から色付けまでを行いました。1kgの琉球漆喰を三等分し、それぞれを頭、胴体、たてがみや牙などのパーツに分けて形を整え、細かい部分を竹ぐしを用いて馴染ませたり、模様を掘ったりしてシーサーを作っていきます。色付けでは黒、白、茶、赤、黄色、青、緑の絵の具を使用して、表情や模様付けを行いました。3時間もあっという間に過ぎ、それぞれの創造性を発揮し出来上がった個性豊かな約50体のシーサーは、自然乾燥期間を経て東京に発送されます。

【マングローブ観察・カヌー体験コース】

慶佐次川のマングローブ観察・カヌー体験コースは、学年の半分以上の118名が参加しました。このコースは1番人気があり、10月の抽選会で選抜されました。118名を2班に分け、さらにカヌーの場合はさらに2班、マングローブはさらに3班とグループごとに体験しました。カヌーは、始めはなかなか方向が定まらない、進まない様子でしたが、だんだん2人の息がぴったりとあい、転覆するカヌーもなく、最後はきちんと陸地に上陸できました。マングローブは、木々の生え方、葉っぱの色、そこに生きるカニを始めとする動物の生態を興味深く観察しました。午前中のみの体験でしたが、あっという間に時間が過ぎ、お昼となりました。どの生徒も満足度120%でした。

【イノー体験・自然観察コース】

イノー体験・自然観察コースでは、国頭郡恩納村の名勝地、万座毛の海岸を訪れて、海岸を散策しながら自然観察を行いました。イノーとは、沖縄の方言で、「サンゴ礁に囲まれた浅い海」を意味します。生徒は3グループに分かれて、それぞれイノーの自然に詳しい現地のガイドさんの案内のもと、琉球石灰岩でできた独特な海岸地形や、多様な植物、海の生き物をじっくりと観察しました。浜辺に打ちあげられた貝殻・サンゴを調べた際には、ガイドさんから「〈星の砂〉を3つ見つけたら幸せになる」と言われ、必死に見つけ出そうとする生徒の目は真剣そのもの。沖縄の豊かな海のおかげで、多くの生徒が幸せになることができました。また、生徒が訪れたときはちょうど潮が引いている時間帯に当たっており、浅瀬の海に膝下まで入って、海の中の魚やナマコなどを間近に観察することができました。最後は、浜辺のプラスチックゴミをみんなで探して拾い集め、美しい沖縄の海も世界各地と同じ「海洋プラスチック問題」に直面している現状を知って、地球環境問題についての理解を深めることができました。

<修学旅行 4日目>

最終日はホテルのある本部町から首里までバスで一気に向かいました。2019年の火災によって残念ながら焼失してしまった首里城の本殿を含む9棟の建物と歴史的遺産ですが、現在は復興に向けて修復中です。守礼門や歓会門などの遺構を見学しました。

その後一日目に宿泊したホテルで名桜大学の嘉納英明先生に平和講話をして頂きました。戦争によって教育を受けることができなかった方々が、お年を召された現在再び学びなおしている話や、戦後の沖縄の教育を支えた初代沖縄県知事でもある屋良朝苗氏の足跡を辿りながら、戦後どのように沖縄が復興していったのかを教育の視点からお話し頂きました。

その後お昼休憩をとりつつ、平和学習委員長、副委員長、各クラスの平和学習委員が登壇し、「旅行のしめくくりの会」を行いました。しめくくりの会では、各平和学習委員がこの修学旅行や平和学習を振り返り全体へ向けて話しました。また、今回引率してくださった教頭先生をはじめとして、学年主任の先生がこの修学旅行についてしめくくりのお話をしてくださいました。

しめくくりの会を終え、那覇空港へ向かいました。最終日は全体が素早い行動をだったので、空港でのお土産を買う時間が取れました。生徒達は楽しそうに思い思いのお土産を買い、少し疲れた様子も見せながらも、無事にこの修学旅行を終えることができました。

 

今回の沖縄修学旅行で得た平和への深い学びを生徒一人一人が次の世代へと繋いでいくことを願っています。