四谷英理子さん
東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部を卒業後、東京大学大学院にて修士号、博士号を取得。
現在は、東京大学大学院経済学研究科助教としてイギリス社会保障史を研究。
東京女学館での思い出
特に印象に残っているのは、フラワーデザイン部での活動です。リボンを使ってバラやユリのブーケなどのお花を作る活動内容でしたが、出来上がりの華やかさとは反対に、根気と集中力が求められるものでした。しかし出来上がった時の達成感は何にも代え難いものでした。部活動を通して、みんなで協力して仕事をやり遂げることの楽しさを学ぶことができました。
どの先生方も情熱を持って授業をしてくださり、それぞれ印象に残っていますが、特に好きだったのは、社会科系の科目と英語です。女学館で学んだ多くのことが、イギリスの社会保障制度の歴史を研究するという現在の仕事につながっていると思います。校外でフィギュアスケートを続けていたことに加え、有志でダンスグループを作り記念祭で発表するなど、中・高の6年間は、様々なことに挑戦することができたとても貴重な時間でした。
現在のお仕事
東京大学大学院の経済学研究科で助教をしています。大学で卒業論文に向けて準備をしていく中で、自分で課題を設定してそれについて深く探求できる研究者という職業に強く惹かれるようになり、東京大学大学院に入学しました。2年間の修士課程を修了した後、博士課程に進み、昨年の春に博士号を取得しました。
研究内容は、イギリスの社会保障制度の歴史についてです。現在の日本では、医療や年金などの社会保障制度改革が大きな課題となっていますが、そもそもこうした社会保障制度はなぜ生まれたのか疑問に思い、研究を始めました。日々の生活において当たり前だと見なしていることの起源はどこにあるのか、という視点を大切にしています。そこに、例えば貧困や格差の拡大といった、現代社会の様々な問題を解決するための重要な鍵があると思うからです。
この仕事を通してみなさんに伝えたいことは、一つのことについて主体的に調べ、深く考えることの大切さです。そしてそれは、自分にとっても強みになる部分だと思うので、これからも大切にしていきたいです。
女学館での学びで現在に生きていること
学校で学んだ最も大切なことは、「最後まで諦めず、やり通す」ことです。研究というものはすぐに大きな成果が出るというものではなく、毎日の小さな小さな積み重ねが大切になってきます。大変だなと思うことでも最後までやり切ること、苦手なことから目を背けないことの大切さを学びました。また、ある先生がおっしゃった、「何でもやる、何でも読む、何でも考える、人一倍きちんと生きていくことが勉強です」という言葉は今でも胸に深く刻まれおり、難しいなと思うことでもまず向き合ってみる、考えてみる、ということを大事にしてきました。学校生活で学んだ「どんなことにも無駄はない」ということが、研究の様々な壁を乗り越える上で大きな力になっていると思います。
(記者:高一 R.K・高一 K.S)
ありがとうございました